「買う」より賢い選択肢?学生のためのエシカルな借り方入門
はじめに
学生生活では、教科書や参考書、イベントで使う服、旅行用品、あるいはちょっとした趣味の道具など、様々なモノが必要になることがあります。そういった時、「買う」という選択肢だけでなく、「借りる」ことも考えてみたことはありますでしょうか。
モノを「借りる」ことは、エシカル消費の観点からも非常に有効な選択肢です。これは、新しいモノの生産や廃棄に伴う環境への負荷を減らし、既存の資源を有効に活用することにつながるためです。
さらに、学生の皆さんにとって「借りる」ことは、限られた予算の中で費用を抑えたり、不要になったモノの置き場所に困らないなど、実利的なメリットも多くあります。
この記事では、「借りる」という行為がなぜエシカルなのか、そして学生の皆さんが無理なく実践できる具体的な借り方の方法、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。
なぜ「借りる」ことがエシカルなのか
「借りる」という行為がエシカルと言われる理由はいくつかあります。
まず、新しいモノを生産するためには、多くの資源(原材料、水、エネルギーなど)が使われ、温室効果ガスの排出など環境に負荷がかかります。モノを借りることで、必要以上に新しいモノが生産されるのを抑えることができます。
次に、モノはいつか寿命を迎え、廃棄されることになります。この廃棄物も環境問題の一因となります。「借りる」ことで、一つのモノをより多くの人が長く使うことになり、結果として廃棄されるモノの総量を減らすことにつながります。
また、モノを共有することは、社会的な公平性にもつながります。高価で手が出せないモノでも、借りることで利用できるようになり、経済的な負担を軽減できます。
このように、「借りる」という選択は、環境への負荷を減らし、資源を有効活用し、社会的な公平性に貢献するなど、様々な面でエシカルな行動と言えるのです。
学生向けの具体的な「借り方」の種類
学生の皆さんが日常で実践しやすい「借り方」には、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を知り、状況に合わせて賢く使い分けることが大切です。
1. 図書館を活用する
最も身近で利用しやすいのが図書館です。
- 借りられるモノ: 主に本、雑誌、CD、DVDなど。大学の図書館だけでなく、地域の公立図書館も利用できます。
- エシカルな側面: 新しく本などを買う必要がないため、出版に伴う資源消費を抑えられます。多くの人が一冊の本を共有することで、モノのライフサイクルが長くなります。
- 学生にとってのメリット: 無料で利用できるため、費用を大幅に節約できます。学習に必要な資料や趣味の本など、多くの情報に手軽にアクセスできます。
- 注意点: 返却期限を守る必要があります。人気の資料は予約待ちになることもあります。
2. 大学や地域の貸出サービスを利用する
大学内や地域には、様々なモノを貸し出している場所があります。
- 借りられるモノ: 大学によっては、スポーツ用品、イベント用の機材、パソコン、特定のソフトウェアなど。地域によっては、会議室、調理器具、地域のイベント用品などがあります。
- エシカルな側面: 既存の設備や物品を共有することで、個々に購入する必要がなくなります。地域のリソースを有効活用することにつながります。
- 学生にとってのメリット: 学内であれば手続きが簡単で、安価または無料で利用できることが多いです。地域のリソースも、学生割引がある場合や、地域活動への参加をきっかけに利用できることがあります。
- 注意点: 貸出期間や利用条件が定められています。利用できるモノの種類は限られています。
3. 友人・知人との貸し借り
身近な人間関係の中での貸し借りも、立派な「借り方」の一つです。
- 借りられるモノ: スーツ、礼服、楽器、工具、キャンプ用品、ゲームソフトなど、普段はあまり使わないけれど、一時的に必要なモノ。
- エシカルな側面: 新しいモノを買わずに済むため、最も手軽で直接的なエシカルな行動と言えます。身近なモノを共有することで、モノへの意識も高まります。
- 学生にとってのメリット: 基本的に無料です。必要な時にすぐに借りられる場合があります。お互いに助け合うことで、人間関係が深まることもあります。
- 注意点: 借りたモノは大切に扱い、期日までに必ず返すことが信頼関係を維持するために不可欠です。破損や紛失のリスクもあります。
4. レンタルサービスを活用する
様々な種類のモノを専門に貸し出しているサービスです。
- 借りられるモノ: 洋服(特にフォーマルウェアやブランド品)、家電、家具、旅行用品(スーツケース、カメラ)、レジャー用品、車など、非常に多岐にわたります。
- エシカルな側面: 必要期間だけモノを利用することで、不要になったモノの廃棄を防ぎます。多くの人が同じモノを使い回すことで、資源の有効活用につながります。
- 学生にとってのメリット: 購入するより費用を大幅に抑えられる場合が多いです。一度きりのイベントや旅行のために高価なモノを買わずに済みます。保管場所に困る大型のモノも手軽に利用できます。最新のモノや普段試せないようなモノを利用できる機会にもなります。
- 注意点: 利用料金がかかります(期間やモノによって料金は異なります)。サービスによっては登録が必要だったり、受け渡しや返却の手間がかかったりします。破損や汚損に対する補償についても確認が必要です。
5. シェアリングサービス/アプリを利用する
特定のモノや場所をユーザー間で共有するプラットフォームです。
- 借りられるモノ: 車(カーシェア)、自転車(シェアサイクル)、特定のアイテム(傘、モバイルバッテリー、工具など)、駐車場、遊休スペースなど。
- エシカルな側面: 遊休資産(使われていないモノや場所)を有効活用することで、社会全体の資源利用効率を高めます。
- 学生にとってのメリット: アプリで手軽に検索・予約・利用できるサービスが多いです。短時間や短距離の利用に適しており、必要な時に必要なだけ利用できます。購入や所有にかかる費用(維持費、保険料など)が不要です。
- 注意点: 利用可能な場所や時間帯が限られることがあります。サービスによって料金体系やルールが異なります。利用前にレビューや評価を確認することが推奨されます。
賢く借りるためのポイント
「借りる」ことをエシカルかつ効率的に実践するためには、いくつかのポイントがあります。
- 本当に必要か見極める: 一時的に必要だと思っても、他のモノで代用できないか、本当に借りて使う機会があるかを冷静に考えましょう。衝動的な利用は避けたいところです。
- 利用期間と頻度を考慮する: 短期間だけ必要なのか、それとも今後も繰り返し利用する可能性があるのかを考えます。一度きりや短期間なら借りる方がお得なことが多いですが、頻繁に使うモノであれば、長い目で見ると購入した方が経済的な場合もあります。レンタル料金と購入費用を比較検討すると良いでしょう。
- 利用規約やルールを確認する: 借りる前に、利用期間、料金体系、延滞料金、破損・紛失時の対応、キャンセルポリシーなどをしっかり確認しましょう。特に有料サービスの場合は、トラブルを防ぐために重要です。
- 借りたモノの状態を確認し、大切に使う: 借りる際にモノの状態を確認し、必要であれば写真を撮っておくなど、記録を残しておくと良いでしょう。そして、次に使う人のためにも、自分のモノ以上に大切に扱うことを心がけましょう。
- 返却期限を厳守する: 借りたモノは必ず定められた期限までに返却しましょう。延滞料金が発生することもありますし、何より貸してくれた人やサービスの信頼を損ねないために重要です。
「借りる」ことの学生向け実利的メリットまとめ
エシカルな側面に加えて、「借りる」ことには学生にとって非常に魅力的な実利的なメリットがあります。
- 圧倒的な節約: 購入する費用、そして不要になった際の売却や廃棄にかかる費用を抑えることができます。特に高価なモノや一度きりしか使わないモノで大きな差が出ます。
- 収納スペースの削減: モノを持たないため、部屋が片付き、限られたスペースを有効活用できます。一人暮らしで収納が少ない学生には大きなメリットです。
- 最新のモノを試せる: レンタルサービスなどでは、最新モデルや普段購入できないようなブランドのモノを試すことができます。
- モノ選びの失敗を防ぐ: 買う前に借りて試すことで、「思っていたのと違った」という失敗を防ぐことができます。
- 手軽さ: アプリで簡単に予約できたり、大学内ですぐに借りられたりと、思った以上に手軽に利用できるサービスが増えています。
まとめ
「買う」ことだけがモノを手に入れる方法ではありません。「借りる」という選択肢は、環境に優しく、お財布にも優しく、そして部屋のスペースも有効活用できる、学生の皆さんにぴったりのエシカルな選択肢と言えます。
図書館から始まり、友人との貸し借り、そして様々なレンタル・シェアリングサービスまで、身近なところに「借りる」機会はたくさんあります。
「意識が高い人だけがすること」ではなく、「賢く、無理なく、自分にも地球にも良いこと」として、「借りる」ことを日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。まずは、次に何かモノが必要になった時に、「買う」以外の選択肢として「借りる」ことを検討するところから始めてみましょう。