学生向け:サークル活動をエシカルに!無理なくできる実践ガイド
学生生活の中心となるサークル活動は、仲間との交流や学びを深める大切な場です。一方で、活動に伴ってさまざまなモノを購入したり、イベントを企画したりする中で、知らず知らずのうちに環境に負荷をかけたり、倫理的に懸念のある選択をしてしまったりする可能性も考えられます。
この記事では、学生の皆さんが参加するサークル活動において、エシカルな視点を無理なく取り入れるための具体的な実践方法をご紹介します。難しいことや特別なことではなく、いつもの活動に少しだけ意識を向けることで、費用を抑えたり、メンバー間の絆を深めたりといった、実利的なメリットにも繋がる可能性があります。
サークル活動に潜む「見過ごされがちな」消費とは
サークル活動には、様々な形での消費が伴います。例えば、以下のような場面が考えられます。
- 物品の購入: サークルTシャツやユニフォーム、活動に必要な道具、配布用の資料、イベント用の備品、飲み物やお菓子など。
- イベントの実施: 会場レンタル、印刷物、使い捨て容器、ノベルティグッズなど。
- 移動: 合宿や遠征、ミーティング場所への移動など。
- 通信: 資料共有や連絡手段としてのオンラインツールの利用、印刷物の消費。
これらの消費において、どのようにモノやサービスが作られ、誰によって運ばれ、最後にどうなるのか、といった背景に目を向けることがエシカル消費の第一歩です。しかし、最初から全てを完璧に把握する必要はありません。まずは「どんなところでエシカルな視点が持てるのだろう?」と考えるきっかけにすることが大切です。
無理なくサークル活動をエシカルにするための基本
エシカルなサークル活動と聞くと、「費用がかかりそう」「手間が増えそう」と感じるかもしれません。しかし、実際には、既存の活動を見直すことで、費用を抑えられたり、効率が良くなったりするケースが多くあります。
大切なのは、「できることから、少しずつ」始めることです。サークルメンバー全員で一度に大きな変化を起こすのは難しい場合でも、まずは特定の活動や物品について話し合ってみることから始められます。エシカルな視点を共有することで、サークル活動の質が向上したり、メンバーの社会への関心が高まったりする副次的なメリットも期待できます。
サークル活動でのエシカルな実践アイデア【物品編】
サークル活動で使うモノを選ぶ際に、少し立ち止まって考えてみるだけで、エシカルな選択肢が見えてきます。
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共同購入・レンタル・シェアリングの活用:
- 一時的にしか使わない道具や備品は、購入するのではなく、レンタルサービスを利用したり、他のサークルや団体とシェアしたりすることを検討しましょう。
- 必要な物品がある場合は、個々で購入するよりもまとめて共同購入する方が、割引が適用されたり、配送回数が減ったりするメリットがあります。
- サークル内で備品を共有するルールを作ることで、無駄な購入を防ぎ、モノを大切に使う習慣が生まれます。
- これは特に、高価な機材が必要な写真サークルや、たくさんの用具が必要なスポーツサークルなどで、費用削減とエシカル消費を両立しやすい方法です。
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中古品・リユース品の検討:
- 活動に必要な書籍や機材、楽器などを探す際、新品だけでなく、中古品やリユース品を扱っているお店やオンラインサービスを覗いてみるのも良い方法です。状態の良い掘り出し物が見つかることもあり、費用を大幅に抑えることができます。
- 卒業する先輩から物品を譲り受けるシステムを作ることも、モノを循環させるエシカルな取り組みです。
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長く使えるモノ、メンテナンスできるモノを選ぶ:
- 少し値段が高くても、丈夫で長く使える品質のモノを選ぶことは、買い替えの頻度を減らし、長期的に見ればコスト削減にも繋がります。
- 壊れてしまっても修理できるモノや、手入れしながら大切に使えるモノを選ぶことで、廃棄を減らすことができます。
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オリジナルのグッズ作成時の配慮:
- サークルTシャツや配布用のノベルティを作成する場合、どのような素材が使われているか、どこで作られているか、といった点に少し注意を向けてみましょう。例えば、オーガニックコットンを使ったTシャツや、リサイクル素材を使ったグッズなど、環境負荷が少ない素材を選んだり、フェアトレード認証の付いた製品を扱っている業者を探したりすることも可能です。
サークル活動でのエシカルな実践アイデア【活動・運営編】
物品選びだけでなく、日々の活動や運営方法を見直すことでも、エシカルな活動は実践できます。
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ペーパーレス化の推進:
- 会議の資料や連絡事項、出欠確認などを紙媒体からオンラインツールに切り替えることで、紙の消費を大幅に減らすことができます。クラウドストレージや共有ドキュメント機能を活用することで、資料の共有も効率的に行えます。
- どうしても印刷が必要な場合は、両面印刷や集約印刷を活用したり、再生紙を選んだりといった工夫ができます。
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イベント時の工夫:
- イベントで飲食物を提供する際、使い捨ての紙コップやプラスチック容器の使用をできるだけ避け、マイカップやマイ皿の持参を呼びかけたり、貸し出し可能なリユース容器を利用したりすることを検討しましょう。
- 懇親会などで食事を用意する際には、参加者の人数を正確に把握し、必要以上の量を用意しないように工夫することで、フードロス削減に繋がります。食べきれない場合は、責任を持って適切に処理する方法を検討しましょう。
- イベントで使用する装飾や備品は、使い捨てではなく、再利用できる素材を選んだり、手作りしたりすることもエシカルな選択です。
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移動手段の検討:
- サークルの活動場所への移動や、メンバー間の待ち合わせなど、可能な範囲で公共交通機関や自転車、徒歩を選ぶことで、温室効果ガスの排出削減に貢献できます。
- 合宿や遠征の計画を立てる際にも、エコな移動手段(新幹線、バスなど)を優先的に検討したり、相乗りを促進したりといった工夫ができます。
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オンラインミーティングの活用:
- 移動時間やコストをかけずにミーティングを行う必要がある場合、積極的にオンラインツールを活用しましょう。これにより、メンバーの負担軽減と同時に、移動に伴う環境負荷も減らすことができます。
サークル活動にエシカルな視点を取り入れるメリット
エシカルなサークル活動は、単に環境や社会に良いだけでなく、サークル自身にも具体的なメリットをもたらします。
- コスト削減: 共同購入や中古品の活用、レンタル、ペーパーレス化、フードロス削減などは、サークルの運営費用や個々のメンバーの負担を軽減することに直接繋がります。
- ゴミ削減・環境負荷低減: 使い捨てを減らし、リサイクルやリユースを推進することで、活動によって排出されるゴミの量を減らし、環境への負荷を低く抑えることができます。
- メンバー間の意識向上と連帯感: エシカルな目標を共有し、協力して取り組む過程で、メンバーの環境や社会問題への関心が高まります。また、共通の目標に向かって工夫することで、メンバー間のコミュニケーションが活発になり、連帯感が生まれる可能性があります。
- 社会問題への関心を持つきっかけ: サークル活動という身近な場からエシカル消費を実践することで、持続可能な社会の実現といったより大きな問題に関心を持つきっかけになります。
- サークルのイメージ向上: エシカルな活動に取り組んでいるサークルとして、学内や学外からの評価が高まる可能性もあります。
まとめ:小さな一歩から、楽しさを損なわずに
サークル活動にエシカルな視点を取り入れることは、決して難しいことや、活動の楽しさを損なうことではありません。むしろ、工夫次第で費用を抑えられたり、メンバーとの新しい共通目標ができたりと、活動をより豊かにする可能性があります。
まずは、サークルで普段どのようなモノを使っているか、どのような活動をしているかをメンバーと話し合ってみることから始めてみましょう。そして、「これならできそう」と思える小さな一歩から実践してみてください。例えば、「次のイベントではマイカップ持参を呼びかけてみよう」「活動で使うプリントは両面印刷にしてみよう」など、無理のない範囲で試してみることが大切です。
学生の皆さん一人ひとりが、日々のサークル活動の中で少しエシカルを意識する積み重ねが、より良い社会を作るための大きな力に繋がります。楽しみながら、賢く、エシカルなサークル活動を実践していきましょう。